英語の資格試験はたくさんあります。
その中でも特に有名で、日本で広く認知されているのが「TOEIC」と「英検」です。
では、どちらの試験の方が難しいのでしょうか。
ということで今回は、「TOEICと英検のどちらが難しいのか」をTOEIC975点と英検準1級を所持する筆者が徹底解説します!
TOEICとは
TOEICは「国際ビジネスコミュニケーション協会」が実施する英語を母語としない方を対象にした試験です。
主に「ビジネスシーンを想定した英語力」の測定を目的としており、5種類の試験があります。
- TOEIC®️ Listening & Reading Test
- TOEIC®︎ Speaking & Writing Tests
- TOEIC®︎ Speaking Test
- TOEIC®︎ Bridge Listening & Reading Tests
- TOEIC®︎ Bridge Speaking & Writing Tests
最も一般的で認知度が高いのは「Listening & Reading Test」で、日本では年間約200万人もの受験者がいます。
英検とは
英検は「公益財団法人日本英語検定協会」が実施する、日本特有の試験です。
主に学生から一般層を対象にしており、英語4技能の能力を総合的に測ることを目的としています。
難易度は7段階です。
- 英検1級(大学上級程度)
- 英検準1級(大学中級程度)
- 英検2級(高校卒業程度)
- 英検準2級(高校中級程度)
- 英検3級(中学卒業程度)
- 英検4級(中学中級程度)
- 英検5級(中学初級程度)
「受験の状況」によると、2022年度の受験者数は合計で4,205,920人です。
このうち、中学生と高校生の受験者は3,102,592人です。
TOEICと英検を比較
問われるスキル
最も一般的な「TOEIC Listening & Reading Test」では、リスニングとリーディングの能力を測ります。
一方、英検では英語4技能、つまりリスニング・リーディング・ライディング・スピーキングの能力を測ります。
ただし、英検4級・5級の場合、スピーキングの能力を測る面接(2次試験)がありません。
単語
TOEICは受験者の英語力に関係なく全員が同じ問題を受験します。
英語初心者にとっては難しい英単語も含まれていることも多いです。
一方、英検で求められる語彙力は受験する級により異なります。
英検準2級〜2級レベルまではTOEICにも頻出の基本単語が多いですが、準1級以上になると英単語の難易度は格段に上がります。
文法
TOEICのPart5・Part6には文法問題が出題されます。
一方、英検にはTOEICのような独立した文法問題が出題されることはありません。
ただし、どちらを受けるにしても英文を読む・聞くために文法の知識は必須です。
英文法の勉強を怠らないようにしましょう。
リーディング
TOEICのリーディングの試験時間は75分間、問題数は100問です。
試験時間の割に分量が多く、時間配分と速読力・精読力のバランスが重要になってきます。
一方英検の場合、問題の分量はTOEICよりは多くありません。
しかし、文章をしっかり読み込んで解釈しなければ解けない問題が多いです。
リスニング
TOEICのリスニングの試験時間は45分間で合計100問、全部で4つのパート(Part1〜Part4)に分かれています。
出題形式はそれぞれのパートで異なりますが、文章のテーマとしては日常生活を扱ったものが多いです。
一方、英検のリスニングはTOEICほど分量は多くありません。
ただし、TOEICより幅広いトピックから出題されるため、幅広い語彙や背景知識を身につけることが必要です。
ライティング・スピーキング
最も一般的で認知度が高い「TOEIC Listening & Reading Test」では、ライティング・スピーキングの能力は問われません。
一方、英検3級以上の場合、1次試験ライティングの能力が問われ、2次試験ではスピーキングの能力が問われます。
合否の有無
TOEICには合否がありません。
スコアで英語力を測ります。
一方、英検には合否があります。
合格ラインを突破すれば「英検〇〇級」というように履歴書等に記載できます。
開催国
TOEICは世界160カ国で開催されています。
一方、英検は日本でのみ開催されています。
活用シーン
TOEICは主に就職活動や転職活動で活用されます。
おおむね600点以上のスコアがあれば、効果的に英語力をアピールして就活・転職を有利に進められるでしょう。
一方、英検は主に大学受験で活用されます。
おおむね2級以上で、入試における内申点の加点や試験免除などが認められています。
試験の実施頻度
TOEICの実施頻度は年間12日程度です。
1日に午前・午後の2回の試験があるので、年間で合計24回ほど実施されることになります。
一方、英検の実施頻度は年間3回です。
一次試験でリーディング・ライティング・リスニングの3技能を測り、一次試験を通過した人は二次試験でスピーキングの能力を測ります。
受験料
TOEICの受験料は7,810円です。(公開テスト)
団体受験のIPテストの場合、受験料は4,230円になります。(団体により異なる場合がある)
一方、英検の受験料は以下です。(2024年度)
級 | 受験料(税込) |
1級 | 12,500円 |
準1級 | 10,500円 |
2級 | 9,100円 |
準2級 | 8,500円 |
3級 | 6,900円 |
4級 | 4,700円 |
5級 | 4,100円 |
基本的な対策方法
TOEICでは、英語の基礎である英単語や英文法を固めつつ、ディクテーションをしたり、文法問題を解くのが基本です。
また、実践演習を通じて試験の形式に慣れることも重要です。
一方、英検は受ける級によって問題が変わります。
そのため、受験する級ごとに適した対策が必要になります。
たとえば1級や準1級だと日常であまり使用しない英単語がたくさん出題されます。
そのため、級に特化した英単語帳で英単語を覚えていくことが重要です。
TOEICスコアと英検の換算表
TOEICと英検は試験方式が異なるので一概に比較はできませんが、一般的には以下のように換算できると言われています。
TOEICスコア | 英検 |
945点以上 | 1級 |
780点〜940点 | 準1級 |
550点〜780点 | 2級 |
400点〜550点 | 準2級 |
300点〜400点 | 3級 |
300点未満 | 4〜5級 |
TOEICと英検はどちらが難しい?→英検の方が難しい(個人的な感想)
さて、本題の「TOEICと英検はどちらが難しいのか」について。
目指すTOEICスコアと英検の級にもよりますが、個人的には英検の方が難しいと感じました。
その理由は2つです。
- 英検はライティングとスピーキングの対策が必要だから
- 英検の方が語彙が難しいから
英検はライティングとスピーキングの対策が必要
TOEICはリスニングとリーディングの対策に集中できます。
一方、英検ではリスニングとリーディングのほか、ライティングとスピーキングを対策することが必要です。
特に英検1級や英検準1級だと、ライティングとスピーキングの重要性が高まります。
そのため、しっかり計画を立てて勉強することが必要です。
英検の方が語彙が難しいから
TOEICはビジネスシーンや日常生活を想定した英語が出題されます。
そのため、極端に難しかったり、使用頻度が低かったりする英単語が出てくることはほぼありません。
一方、英検はさまざまなテーマの英語が出題されます。
アカデミックな分野の英単語が出てくることも多く、高い語彙力が求められます。
TOEICと英検はどちらを受けるべき?→中高生以外はTOEICを受けるべき
迷ったらTOEICを受験するがおすすめです。
TOEICを受験する方がおすすめな理由は3つあります。
- TOEICの方が活用できる場面が多い
- リスニングとリーディングだけなので比較的対策しやすい
- 受験料がリーズナブル
また、TOEICを先に対策しておけば、後で英検を受験するとなったときにリスニングとリーディングの力がある程度身についた状態から勉強をスタートできます。
よって、ライティングとスピーキングの対策により多くの時間を使えるようになるでしょう。
TOEICの勉強法
TOEICについて知る
TOEICにはリスニングセクション(Part1〜4)とリーディングセクション(Part5〜7)があります。
Part1 | 写真描写問題 |
Part2 | 応答問題 |
Part3 | 会話問題 |
Part4 | 説明文問題 |
Part5 | 短文穴埋め問題 |
Part6 | 長文穴埋め問題 |
Part7 | 長文読解問題 |
それぞれのPartで、問題の特徴・傾向や対策方法・解き方は大きく異なります。
そのため、TOEICの対策を始めたら、まずは問題の特徴・傾向や対策方法・解き方を学びましょう。
「TOEIC全パート攻略法+テクニック(単語帳・問題集付き)」で詳しく解説しているので、必ずご覧ください。
語彙力を鍛える
TOEICのスコア別に必要な英単語数は以下です。
スコア | 必要英単語数 |
400点 | 3000語程度 |
500点 | 4000語程度 |
600点 | 5000語程度 |
700点 | 7000語程度 |
800点 | 8000語程度 |
900点 | 10000語以上 |
語彙力を鍛えるには、以下を実践しましょう。
- 基本英単語を覚える(スコア500点以下の場合)
- TOEIC特化の英単語帳を使って英単語を覚える
- 問題演習でわからなかった英単語を調べてノートにまとめ、定期的に見返す(700点以上の場合)
おすすめのTOEIC特化の英単語帳は2つです。
また、英単語を覚えるコツは4つあります。
- 発音する
- 反復する(1度に多くの英単語に目を通すことを繰り返す)
- 毎日寝る前に暗記する
- 1冊しっかり覚える
これをやるだけで英単語の暗記効率はグッと向上します。
英文法を勉強する
英文法は、英単語と並んで重要な英語の基礎です。
英文法の理解度が低ければ、リスニングの聞き取りの精度が落ちるので、正答率が下がります。
リーディングについても、英文を読むスピードと読解の精度が落ちるので、全体のスコアがガクッと落ち込みます。
さらに、TOEICのリーディングセクションには英文法問題が多数出題されるので、確実に理解することが大切です。
英文法を学ぶなら、「スタディサプリ ENGLISH TOEICテスト対策
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毎日英語を聞く
- 英語を聞くことに対する抵抗感を無くす
- 英語を聞く集中力を身につける
- リスニング力を鍛える
ために、毎日英語を聞くことを習慣にしましょう。
おすすめのリスニング教材はTEDという番組です。
TEDがおすすめな理由は5つあります。
- YouTubeで無料で気軽に視聴できる
- 英語が聞き取りやすい
- 話が面白い
- 英語字幕を表示できる(人気の番組は日本語字幕もある)
- 速度を調整できる
ディクテーション
- リスニング音声のスピードについていく
- 音の連結・脱落・同化に対応する
ディクテーションは、音声のスピードについていくために効果的なリスニング練習法です。
以下の手順で進めます。
- リスニング教材・素材を選ぶ
- 全文を聞く
- 音声を1文ごとに区切って止めながら聞いた内容を書き取る(書き取れるまで音声は何度再生し直してもOK)
- 再度全文を聞いて、意味を意識しながら書き取った内容をチェック
- スクリプトを見て間違いがないかチェック
- 間違いがあった場合は聞き取れるようになるまで聞き直す
シャドーイング
シャドーイングは、音声認識を自然とできるようになるために効果的なリスニング練習法です。
シャドーイングは以下の手順で進めます。
- 一度全文を聞く(意味を理解しながら)
- スクリプトを確認する
- スクリプトを確認しながら、音声を流して聞き取りと同時に発音する
- ③を最低3回繰り返す
- スクリプトを見ずに、音声を流して聞き取りと同時に発音する
- ⑤を最低3回繰り返す
シャドーイングの教材には、ディクテーションと同様にTOEIC公式問題集のPart1・2の問題を使うのがおすすめ。
慣れてきたら、より難易度の高いPart3・4の問題を使いましょう。
毎日英語を読む
- 英語を読むことに対する抵抗感を無くす
- 英語を読む集中力を身につける
- リーディング力を鍛える
ために、毎日英語を読むことを習慣にしましょう。
おすすめのリーディング教材は、TOEIC公式問題集のPart6・7です。
文法問題を解く
文法問題を繰り返し解くことで、リスニングセクションのPart5・Part6の解答スピードがアップします。
Part7の長文問題により多くの時間をかけられるようになるので、安定して高いスコアを取ることができるようになります。
おすすめの文法問題集は「TOEIC文法問題でる1000問」です。
実践演習する
TOEICは形式が特殊な試験です。
そのうえ、試験時間が合計約120分と長いです。
- 形式に慣れる
- 体力を身につける
ために、実践的に問題演習しましょう。
問題演習には、すでに何度か紹介した「公式問題集」を使うのがおすすめです。
「公式」とついているだけあって、本番の難易度・形式に最も近い問題が掲載されています。
まとめ
TOEICと英検の難しさは一概に比較することはできません。
が、個人的には英検の方が難しいと感じました。
英語初学者や大学生・社会人は、TOEICの勉強をするのがおすすめ。
受験で英検が必要な中高生は、英検の勉強をするのがおすすめです!