英語の資格試験はたくさんあります。
その中でも特に有名で、日本で広く認知されているのが「TOEIC」と「英検」です。
TOEICと英検は英語力を客観的に示せるという点で共通しているものの、問題の傾向は大きく異なります。
ほかにも、難易度や合否の有無、活用できる場面や評価のされ方など、さまざまな点で違いがあります。
ということで今回は、「高校生はTOEICと英検のどちらを受けるべきか」徹底解説します!
筆者のTOEICスコアは975点(リスニング495点、リーディング480点)です!
TOEICとは
TOEICは「国際ビジネスコミュニケーション協会」が実施する英語を母語としない方を対象にした試験です。
主に「ビジネスシーンを想定した英語力」の測定を目的としており、5種類の試験があります。
- TOEIC®️ Listening & Reading Test
- TOEIC®︎ Speaking & Writing Tests
- TOEIC®︎ Speaking Test
- TOEIC®︎ Bridge Listening & Reading Tests
- TOEIC®︎ Bridge Speaking & Writing Tests
最も一般的で認知度が高く、履歴書等への記載が求められることが多いのは「Listening & Reading Test」です。
英検とは
英検は「公益財団法人日本英語検定協会」が実施する、日本特有の試験です。
主に学生から一般層を対象にしており、英語4技能の能力を総合的に測ることを目的としています。
難易度は7段階です。
- 英検1級(大学上級程度)
- 英検準1級(大学中級程度)
- 英検2級(高校卒業程度)
- 英検準2級(高校中級程度)
- 英検3級(中学卒業程度)
- 英検4級(中学中級程度)
- 英検5級(中学初級程度)
TOEICと英検を比較
受験者数
TOEICの公式が発表している「DATA & ANALYSIS 2023」によると、2022年度の日本の受験者数は合計で1,785,236人です。
一方、英検の公式が発表している「受験の状況」によると、2022年度の受験者数は合計で4,205,920人です。
問われるスキル
最も一般的な「TOEIC Listening & Reading Test」では、リスニングとリーディングの能力を測ります。
一方、英検では英語4技能、つまりリスニング・リーディング・ライディング・スピーキングの能力を測ります。
ただし、英検4級・5級の場合、スピーキングの能力を測る面接(2次試験)がありません。
合否の有無
TOEICには合否がありません。
10〜990点、5点刻みのスコアで英語力を測ります。
一方、英検には合否があります。
合格ラインを突破すれば「英検〇〇級」というように履歴書等に記載できます。
開催国
TOEICは世界160カ国で開催されています。
一方、英検は日本でのみ開催されています。
活用シーン
TOEICは主に転職活動や昇進・昇格の評価で活用されます。
おおむね600点以上のスコアがあれば、転職や昇進・昇格で有利になるでしょう。
英検は主に大学受験で活用されます。
おおむね2級以上で、入試における内申点の加点や試験免除などが認められています。
試験の実施頻度
TOEICの実施頻度は年間18日程度です。
1日に午前・午後の2回の試験があるので、年間で合計36回ほど実施されることになります。
一方、英検の実施頻度は年間3回です。
一次試験でリーディング・ライティング・リスニングの3技能を測り、一次試験を通過した人は二次試験でスピーキングの能力を測ります。
試験の内容
TOEICはすべてマーク形式の試験です。
また、英語力に限らず、すべての受験者に同じ問題が出題されます。
一方、英検はリスニング・リーディングがマーク形式、ライティングは記述形式、スピーキングは試験管との面接形式です。
また、級ごとに問題の内容・難易度が異なっています。
難易度
英検とTOEICは試験の形式や問題の内容が異なるので一概に比較することはできません。
しかし、一般には以下のようにTOEICスコアと英検の級を換算できると言われています。
TOEICスコア | 英検 |
945点以上 | 1級 |
780点〜940点 | 準1級 |
550点〜780点 | 2級 |
400点〜550点 | 準2級 |
300点〜400点 | 3級 |
300点未満 | 4〜5級 |
受験料
TOEICの受験料は7,810円です。(公開テスト)
団体受験のIPテストの場合、受験料は4,230円になります。(団体により異なる場合がある)
一方、英検の受験料は以下です。(執筆時点の情報)
級 | 受験料(税込) |
1級 | 12,500円 |
準1級 | 10,500円 |
2級 | 9,100円 |
準2級 | 8,500円 |
3級 | 6,900円 |
4級 | 4,700円 |
5級 | 4,100円 |
高校生がTOEICを受験するメリット
高校生がTOEICを受験するメリットは6つあります。
- 根本的な英語力が伸びる
- 共通テスト対策になる
- 英語力を客観的に測定できる
- 大学受験でも利用できる
- 将来の就職活動や転職活動で役立つ
- ほかの英語資格と比べて対策しやすい
根本的な英語力が伸びる
まず、TOEIC対策をすることで根本的な英語力が伸びます。
具体的には以下の力が身につきます。
- 語彙力
- 英文法力
- 速読力
- 精読力
- リスニング力
- 情報処理能力
- 情報を関連づける能力
志望校のレベルによってはそうでない可能性もありますが、TOEICで求められる能力は一般的には大学受験よりも高いです。
したがって、TOEICの勉強をしておけば、自ずと大学受験において英語でライバルと差をつけられます。
共通テスト対策になる
TOEICには、共通テストのリスニング・リーディングのような情報を組み合わせる問題が多数出題されます。
しかも、TOEICは以下の4点から、難易度が共通テストより高いです。
- リスニングは全て一度読み
- リスニングの試験時間は45分間と長丁場(共テは30分間)
- リーディングは問題量の割に試験時間が短すぎる(普通は解き終わらない)
- リスニング・リーディングともに問題文が長い
そのため、TOEIC対策は「負荷をかけた共通テスト対策」とみなすことができます。
したがって、TOEIC対策をすることで自ずと共通テストでも高得点を取れる実力が身につきます。
ちなみに、共通テストとTOEICスコアの換算は以下の通りです。
共通テストの点数(得点率) | TOEICスコア |
20点(1割) | 200点 |
40点(2割) | 200点 |
60点(3割) | 200点〜250点 |
80点(4割) | 300点 |
100点(5割) | 300点〜400点 |
120点(6割)(共テ平均点) | 400点〜500点(大学1年生IP平均点) |
140点(7割) | 450点〜550点 |
160点(8割) | 500点〜550点 |
180点(9割) | 550点〜600点 |
200点(10割) | 600点〜700点 |
英語力を客観的に測定できる
TOEICは5点刻み、10〜990点でスコアがつけられます。
スコアによって客観的な英語力がわかるので、今後の勉強方法や目標設定に役立てられるでしょう。
大学受験で利用できる
TOEICは一部の大学受験で利用できます。
「TOEIC Program 大学入学試験における活用状況【2022年度】」によると、TOEIC L&Rを受験で活用している大学は236校あります。
具体的な活用例は以下の通りです。(執筆時点の情報)
大学 | 活用方法 | 基準スコア |
北海道大学工学部 総合型 フロンティア入試 | 出願資格、加点 | 550,600 |
東京海洋大学海洋資源環境学部 | 出願資格 | 400 |
青山学院大学地球社会共生学部 学校推薦型 | 出願資格 | 550 |
立命館大学文学部 総合型 | 出願資格、判定優遇・合否参考 | 550 |
将来の就職活動や転職活動で役立つ
日本における就職・転職活動では、TOEICが幅広く活用されています。
実際、下図から、新卒採用でTOEICスコアを「要件にしている」「参考にしている」「新たに要件・参考とする可能性がある」と回答した企業が半数以上を占めることがわかります。
また、60%以上の企業が、中途採用においてTOEICスコアを「要件にしている」「参考にしている」「新たに要件・参考とする可能性がある」と回答しています。
TOEIC活用状況と求められるスコア
就職でTOEICを活用するために、大学2〜3年生になってからTOEICの対策を始める方は多いです。
しかし、大学2〜3年生からTOEICの対策を始めるのは、はっきり言って遅いです。
英語力は受験時より落ちていることもあり、勉強しても思うように成績が伸びずに目標スコアを取れない方がたくさんいます。
TOEICスコアの有効期限は2年なので、残念ながら高校生で取得したTOEICのスコアは大学3〜4年に始まる就職活動では利用できません。
しかし、高校生の段階からコツコツとTOEICの勉強を継続していれば、将来就職で使えるTOEICスコアを手に入れやすくなります。
ほかの英語資格と比べて対策しやすい
- 試験はリスニングとリーディングのみ
- 開催頻度が高い(年18日)
- 受験料が英検よりリーズナブル(公開テストで7,810円)
等の理由により、TOEICは学業や部活で忙しい高校生でも比較的対策・受験しやすいです。
高校生が英検を受験するメリット
高校生が英検を受験するメリットは3つあります。
- 大学受験での活用シーンが幅広い
- 英語でのコミュニケーション能力をアピールできる
- 合否があるから終わりが見える
大学受験での活用シーンが幅広い
特に英検準1級以上を取れると、大学受験での優遇措置を受けられる可能性が増えます。
具体的な優遇措置は以下の通りです。
- 出願資格
- 得点換算
- 試験免除
- 加点
- 判定優遇・合否参考
また、英検では合否の他に「CSEスコア」が通知されます。
一部の大学では「合否は問わず、CSEスコア〇〇点以上」という条件を設けているので、不合格でも一定のCSEスコアを取れれば受験で使える可能性があります。
最近はTOEICも大学受験で活用される場面が増えています。
しかし、まだまだ英検には及びません。
英語でのコミュニケーション能力をアピールできる
TOEICと違い、英検では4技能の総合力を測ります。
つまり、英検を受験すればライティングやスピーキングの能力を客観的にアピールできます。
合否があるから終わりが見える
英検は「1級」「準1級」というように級が分かれており、一定以上のスコアを取れば合格となります。
つまり、「合格」すれば終わりです。
一方、TOEICには合否がなく、英語力をスコアで数値化します。
そしてスコアが高ければ高いほど良い評価を得られるようになります。
高校生はTOEICと英検どっちを受けるべき?→TOEICを受けるのがおすすめ
ここまでTOEICと英検を比較してきました。
それぞれに特徴がありますが、以下の4点より、基本的には高校生はTOEICを受けるのがおすすめです。
- リスニングとリーディングだけなので比較的対策しやすい
- 大学受験英語対策になる
- 受験料がリーズナブル
- 開催頻度が高く受験しやすい
そして、TOEICを受験してリスニングとリーディングの英語力を底上げした後に、必要に応じて英検などほかの英語資格に挑戦していきましょう。
大学受験で資格を活用したい高校生は英検を受けるべき
ただし、大学受験で活用したい高校生には英検がおすすめです。
TOEICを活用できる場面は増えていますが、以前として英検の方が活用範囲が広いからです。
ただし、英検はスピーキングとライティングの対策も必要になるので、TOEICより対策が大変なことは理解しておきましょう。
高校生がTOEICで目指すべきスコア
TOEIC Program DATA & ANALYSISによると、高校生のTOEIC平均点は以下の通りです。
- IPテスト(団体受験):427点
- 公開テスト(個別受験):508点
よって、まずは公開テストの平均点に近い目標に勉強するのがおすすめです。
高校生のTOEIC勉強法
TOEICの基本的な勉強の進め方は以下の通りです。
- 語彙力を鍛える
- 英文法を勉強する
- オーバーラッピング・ディクテーションでリスニング力を伸ばす
- 音読・多読でリーディング力を伸ばす
- まずはPart1・2・5・6を重点的に対策する
- 実践演習する
より具体的な勉強法については以下の記事をご覧ください。
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すでに一度TOEICを受けたことがある方は、以下の記事を参考に目標スコアに合わせて勉強していきましょう。
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まとめ
高校生はTOEICを受験するのがおすすめです。
その理由は4つあります。
- リスニングとリーディングだけなので比較的対策しやすい
- 大学受験英語対策になる
- 受験料がリーズナブル
- 開催頻度が高く受験しやすい
今回は高校生のTOEIC平均点と、「何点からすごいのか」というスコアの目安を解説します!本記事の信頼性筆者のTOEICスコアは975点(リスニング495点、リーディング480点)です!TOEICとはTOEICは「国際ビジ[…]