TOEICは「国際ビジネスコミュニケーション協会」が実施する英語を母語としない方を対象にした試験です。
主に「ビジネスシーン・日常英会話を想定した英語力」の測定を目的としており、全部で5種類の試験があります。
- TOEIC®︎ Listening & Reading Test
- TOEIC®︎ Speaking & Writing Test
- TOEIC®︎ Speaking Test
- TOEIC®︎ Bridge Listening & Reading Test
- TOEIC®︎ Bridge Speaking & Writing Test
最も一般的で認知度が高いのは「Listening & Reading Test」で、日本では年間約200万人もの受験者がいます。
さて、そんなTOEICですが、一部のテストでは「0点」を取ることはできないんです。
それぞれのテストの最低点は以下の通りです。
- TOEIC®︎ Listening & Reading Test:10点(Listening 5点、Reading 5点)
- TOEIC®︎ Speaking & Writing Test:0点
- TOEIC®︎ Speaking Test:0点
- TOEIC®︎ Bridge Listening & Reading Test:30点(Listening 15点、Reading 15点)
- TOEIC®︎ Bridge Speaking & Writing Test:30点(Speaking 15点、Writing 15点)
ということで今回は「なぜTOEICの中には最低点が0点ではないテストがあるのか」というテーマでお話ししてみようと思います。
筆者のTOEICスコアは975点(リスニング495点、リーディング480点)です!
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- 1 TOEIC Listening & Readingで0点は取れない
- 2 TOEIC Speaking & Writingなら0点を取れる
- 3 TOEIC Bridgeで0点は取れない
- 4 TOEICの最低点と最高点
- 5 TOEIC Listening & Readingの最低点はなぜ10点なのか
- 6 TOEIC Listening & Readingの点数配分の仕組み
- 7 TOEIC Listening & Readingで最低点の10点を取る人の割合
- 8 TOEICの実践問題を解いた時の採点方法
- 9 自分のTOEICスコアを10分で知る方法
- 10 TOEICの平均点
- 11 TOEICで目指すべきスコア
- 12 TOEICの勉強法
- 13 TOEICのスコアを伸ばすコツ
- 14 まとめ
TOEIC Listening & Readingで0点は取れない
TOEIC Listening & Readingは、TOEICの中で最も認知度が高く、最も幅広く活用されているスコアです。
一般的に「TOEIC」といえば、TOEIC Listening & Readingのことを指します。
冒頭でお話ししたように、このTOEIC Listening & Readingのテストでは0点は取れません。
TOEIC Speaking & Writingなら0点を取れる
一方で、スピーキングとライティングの能力を測るTOEIC Speaking & Writingの最低点は0点です。
- Speakingで何も話さなかったら0点
- Writingで何も書かなかったら0点
ということになります。
ちなみに、TOEIC Speaking & Writingで0点だった場合の評価は以下のようになります。
スピーキングのかなりの部分で回答なし。ディレクションや設問を理解するのに必要なリスニング・リーディング力が欠けている。
・Writing=0点(〜30点)の評価
ライティングのかなりの部分で回答なし。ディレクションや設問を理解するのに必要なリーディング力が欠けている。
なお、スピーキングについては「Pronunciation(発音)」と「Intonation and Stress (イントネーションとアクセント)」という評価項目もあります。
それぞれ3段階で評価され、0点の場合は一番下のLOWになるでしょう。
TOEIC Bridgeで0点は取れない
TOEIC Bridgeというのは、一言で言えば「易しいTOEIC」です。
TOEIC Bridgeは、まだTOEICに挑戦するには英語力が十分でない英語初心者が安心して受験できるよう、易しい問題でテストが構成されています。
TOEIC Bridgeには2つのテストがあります。
- TOEIC®︎ Bridge Listening & Reading Test(2001年誕生)
- TOEIC®︎ Bridge Speaking & Writing Test(2019年導入)
そして、それぞれの最低点は以下のとおりです。
- TOEIC®︎ Bridge Listening & Reading Test:30点(Listening 15点、Reading 15点)
- TOEIC®︎ Bridge Speaking & Writing Test:30点(Speaking 15点、Writing 15点)
TOEICの最低点と最高点
さて、ここで5つのTOEICテストの最低点と最高点をまとめておきましょう。
テスト | 最低点 | 最高点 |
TOEIC®︎ Listening & Reading Test | 10点(Listening 5点、Reading 5点) | 990点(Listening 495点、Reading 495点) |
TOEIC®︎ Speaking & Writing Test | 0点(Speaking 0点、Writing 0点) | 400点(Speaking 200点、Writing 200点) |
TOEIC®︎ Speaking Test | 0点 | 200点 |
TOEIC®︎ Bridge Listening & Reading Test | 30点(Listening 15点、Reading 15点) | 100点(Listening 50点、Reading 50点) |
TOEIC®︎ Bridge Speaking & Writing Test | 30点(Speaking 15点、Writing 15点) | 100点(Speaking 50点、Writing 50点) |
TOEIC Listening & Readingの最低点はなぜ10点なのか
普通のテストなら
- テスト用紙に氏名を記入しない
- テスト用紙に何も記入しない
- 全問(わざと)間違える
などの方法により、0点を取ることが可能です。
しかし、知名度が高い「TOEIC Listening & Reading」では、仮に正答数が0問でも0点にはなりません。
リスニング5点、リーディング5点、合計10点を取ることになります。
「なぜ最低点が10点に設定されているのか」については、公式から明確な説明があるわけではありません。
TOEIC Listening & Readingの点数配分の仕組み
TOEICスコアの計算方法について、すべてが公表されているわけではありません。
よって、現わかっている点数配分の仕組みを紹介します。
「1問5点」は間違い
「TOEICの配点は1問5点」と聞いたことがある方は多いかもしれません。
しかし、これは実際には正確ではありません。
TOEICにはリスニング100問、リーディング100問で、合計200問あります。
もし「1問5点」という配点を適用すると、満点は1000点となります。しかし、TOEICの満点は990点です。
「いや、シンプルに1問5点で満点1000点でいいじゃん!キリも良いし。」と思いますよね。
TOEICがそのような採点方法を取っていない理由は、試験の難易度によってスコアを変動させないためです。
実際には統計処理を施してスコアを計算する
というのも、TOEICでは毎回異なる問題が出題されます。
毎回同じ難易度に上手く調整できれば良いのですが、そんなことは不可能です。
ここで、もし1問5点というような採点方法が採用されていた場合はどうなるでしょうか。
簡単な問題が多かった回を受ける方が、難しい問題が多かった回を受けるより点数が高くなるはずです。
そこで、TOEICでは「統計的な処理」を施すことで、いつ受験しても平等なスコアが出るようにスコアが調整されます。
最低スコアが10点になっているのも、「この統計処理の過程で、最低スコアを10点に調整した方が都合が良い」ということに起因していると考えられます。
ちなみに、統計的な処理の詳細は分かりませんが、正答率がスバ抜けて低い問題は間違えてもスコアに影響がないということがわかっています。
実際、TOEICリスニングでは、100問中95問以上取れば満点を狙える可能性があります。
また、TOEICリーディングでは、100問中98〜99問以上で満点を狙える可能性があります。
TOEIC Listening & Readingで最低点の10点を取る人の割合
2023年度の公開テスト全体を通じて、TOEIC Listening & Readingで10点〜40点を取る人の割合は0.02%です。
「10点を取る人の数」は明確には公表されていません。
ただし、個別の受験回を見てみると、どれくらいの人が最低点の10点をとっているのかなんとなく想像できます。
たとえば、2024年12月21日(午後)の場合、受験者数は16,826人。そのうち、最低点の10点を取ったのは1人でした。
ちなみに、リスニング最低点の5点を取ったのは2人、リーディング最低点の5点を取ったのは10人いたようです。
2024年12月21日(午後)の回の数字で計算してみると、最低点を取る人の割合は1/16826≒0.0059%となります。
実際にいるとは、正直驚きました。受験料を支払い、受験会場にも来たのに、試験時に何も記載しなかったということなのでしょうか。
TOEICの実践問題を解いた時の採点方法
さて、ここまでの話から、TOEICは1問5点では計算できないことがわかりました。
かといって、統計処理の方法も公開されていないので、スコアを計算したい時に困りますよね。
そこで役立つのが、TOEICの素点とスコアの換算表です。(以下参照)
上の表で素点とスコアを換算すれば、ズバッと「〇〇点」と計算することはできませんが、ある程度のスコアを予測できます。
自分のTOEICスコアを10分で知る方法
「自分のスコアを知りたいけど、TOEICの模試を2時間かけて200問解くのはきつい」という方もいますよね。
- 形式を把握する
- 時間配分の感覚を身につける
ためには、本番前に1〜2回程度、2時間かけて模試を解くことは必要です。
しかし、普段からスコアの伸びを把握するために定期的に模試を解くのは、正直現実的ではありません。
そこでおすすめなのが「Santaアルク」というスマホアプリを利用することです。
「Santaアルク」の画面
「Santaアルク」は無料で使えるうえ、たった12問のテストを受けるだけでスコア診断ができます。
「Santaアルク」なら、アプリダウンロードからスコア診断まで10分もかかりません。
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TOEICの平均点
TOEICの平均スコアは以下のとおりです。(2023年度)
- 公開テスト:612点
- IPテスト:492点
IPテストというのは、大学や企業など団体で申し込みを行う試験です。
IPテストの平均スコアは、公開テストの平均スコアより100点以上低いです。その理由は主に2つあります。
- 受けさせられた人が多いから
- 受験料が比較的安くとりあえず申し込む人が多いから
TOEICで目指すべきスコア
TOEICで目指すべきスコアは「TOEIC600点」です。
TOEIC600点は履歴書に書ける最低限のスコアだと言われます。
なぜなら、前述したように公開テストの平均点がおよそ600点で、600点取れれば「平均以上に英語ができます」とアピールできるからです。
そして、TOEIC700点以上になると「すごい!」と評価されます。就活や転職で周りと差別化できるのも、TOEIC700点以上からでしょう。
TOEICの勉強法
TOEICの基本の勉強方針は以下のとおりです。
- 単語を覚える(中学英単語もしくはTOEIC頻出英単語)
- 文法を固める(難しい英文法は対策の必要なし)
- まずはPart1・2・5に絞って対策
- 次はPart3・4・6を対策
- 長文のPart7は難しいので一番最後
- 定期的に実践演習して勉強の効果を測る
ただし、以上はあくまで基本の勉強方針です。TOEICはスコアによって、やるべき勉強内容が大きく異なります。
イングルートでは、スコア別に細かく勉強法を解説しています。
・TOEIC250点を取る勉強法
・TOEIC300点を取る勉強法
・TOEIC350点を取る勉強法
・TOEIC400点を取る勉強法
・TOEIC450点を取る勉強法
・TOEIC500点を取る勉強法
・TOEIC550点を取る勉強法
・TOEIC600点を取る勉強法
・TOEIC650点を取る勉強法
・TOEIC700点を取る勉強法
・TOEIC750点を取る勉強法
・TOEIC800点を取る勉強法
・TOEIC850点を取る勉強法
・TOEIC900点を取る勉強法
・TOEIC950点を取る勉強法
TOEICのスコアを伸ばすコツ
最後に、TOEICのスコアを伸ばすコツ・テクニックを解説します。
難しい問題に固執しない
TOEICには簡単な問題と難しい問題が混在しています。
各Partの前半の方には簡単な問題が出やすく、後半になるにつれて難易度の高い問題が出やすくなる傾向にあります。
だからと言って、後半の問題がすべて難しいというわけではありません。後半にも、すぐに解ける簡単な問題はたくさんあります。
後半の簡単な問題に辿り着くには、前半の難しい問題に固執して時間を使いすぎないことが重要です。
TOEICは「難問1問より易問3問」です。
難しい問題1問に時間を使ってなんとか正解するより、同じ時間で簡単な問題を3問解いた方がスコアは伸びます。
ただ、「難しい問題に固執しない」というのは非常に難しいです。
本番でいきなり実践するのは、自分を律する力が強い方くらいです。
よって、普段の問題演習で難しい問題に固執しすぎないよう癖づけておきましょう。
リーディングは塗り絵をする
リーディングの試験時間は75分間です。
一見長いように感じられるかもしれませんが、実際に解いてみると驚くほど短いことに気づくはずです。
基本的に「TOEICリーディングは最後まで解き終わらないもの」と認識しましょう。
だからといって、問題を解き残すのはもったいないです。
なぜなら、TOEICは選択問題であり、かつ選択肢が4つしかないのでランダムに選んでも正答率が25%もあるからです。
特にTOEIC初心者の場合、時間内に解き終わらず、解答用紙の後半が空欄だらけになりがちです。
しかし、空欄にするのではなく、試験終了前2〜3分くらいで残っている問題を塗りつぶせば、正答数は伸びます。
たとえば20問解き残したとしても、塗り絵をすれば20×1/4=5問正答数を増やせます。
5問も正答数が増えれば、スコアは20〜30点くらいはアップするでしょう。
ですので、試験を解く前から「試験終了前〇〇分前になったら残りの問題を塗り絵するぞ」と決めておきましょう。
リーディングは時間配分を決めておく
ここまで解説してきた
- 難しい問題に固執しない
- 塗り絵する
に関連して、時間配分をあらかじめ決めておきましょう。
時間配分を決めておけば「時間を過ぎたから急ぐ」「時間が余ってるから丁寧に解く」というペース配分が上手にできるようになります。
TOEICリーディングには、Part5〜Part7まで3つのPartがあります。
それぞれのPartの理想の時間配分は以下のとおりです。
- Part5:10分
- Part6:10分
- Part7:55分(塗り絵込み)
ただし、TOEIC600点を目指す段階とかだと、以上の時間配分で問題を解くのはかなりきついです。
ですので、「Part5・6をそれぞれ15分にする」というように、自分の状況に合わせて調整することが大切です。
まとめ
TOEICのListening & Readingでは、0点は取ることができません。
たとえ何もマークしなかったとしても、スコアは10点となります。
スコアが0点にならない明確な理由は示されていませんが、「点数配分の仕組み」が関連していると言われています。
TOEICでは「1問5点」というような一律配点を採用せず、試験の難易度を調整した統計処理を施してスコアを算出しています。
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参考
TOEIC Speaking & Writing Tests スコアレンジ別評価一覧表
TOEIC Speaking & Writing Tests 平均スコア 詳細 2024年12月15日